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LAI(持続性注射剤)を使用した治療

成人の統合失調症治療において広く用いられている注射剤

LAI(持続性注射剤)は統合失調症において多くみられる幻聴や妄想といった症状をやわらげ、意欲や関心を引き上げるなど気持ちの安定的なコントロールを図るうえで有効な治療法のひとつとなります。近年ではさまざまな種類の注射剤が登場しており、医師とご相談のうえでその方の病状や生活スタイルなどに応じた最適なものをお選びいただくことも可能となっています。従来の経口タイプの薬剤(飲み薬)と比べても、月に1~2回の注射剤の投与によって同様の効果が期待されているほか、薬の飲み忘れによる症状の悪化や再発リスクの軽減など、患者さんの生活の質(QOL)向上を考えるうえでもメリットの多い治療法のひとつとなります。

LAI(Long Acting Injection/持続性注射剤)とは

LAI(持続性注射剤)は統合失調症の治療において古くより用いられている治療法です。近年では糖尿病や心筋梗塞などの疾患を併せ持つ患者さんに対しても、安全性の高い注射剤が多く開発されており、より安心安全にご使用いただけるようになっています。

まずは医師とご相談いただいたうえで、LAI(持続性注射剤)を用いた治療か
経口薬(飲み薬)による治療かを選択いただけます

統合失調症の治療においては、いずれも正しい理解を持って継続した治療が必要となります。経口薬による治療を選択される場合には、特に毎日の薬の飲み忘れを防ぐための対策や工夫が不可欠となりますが、直接体内に薬剤を投与するLAIにおいては月1~2回の投与によって一定期間安定した効果が持続します。そのため薬の管理のわずらわしさや飲み忘れに対する不安や負担感も大幅に軽減されることとなります。

LAI(持続性注射剤)におけるメリット・デメリット
  • 症状の急激な悪化や再発リスクが軽減される
    投与後は体内に薬剤の効果がゆっくりと吸収されていきます。血中内で一定期間安定した効果が持続するため、急激な症状の悪化や再発の可能性が低下します。
  • 薬の飲み忘れに対する心配がなくなる
    毎日の服薬の必要がなくなるため、飲み忘れの心配や飲み薬の種類を減らすことにもつながります。患者さんご自身の負担だけでなく、ご家族の心配も少なくなります。
  • 薬の管理のわずらわしさからの解放
    患者さんご自身の負担だけでなく、ご家族など服薬状況を定期的に確認する必要もなくなります。
  • ご本人の生活の質(QOL)の向上
    薬の服用タイミングを気にする必要がなくなることで、職場や学校などでより安心して活動に取り組むことができます。
  • 何らかの副作用が生じた場合には副作用も一定期間持続される可能性があります
    体内へ直接薬剤を投与するLAIでは、副作用が生じた場合においても同様に一定期間副作用が持続してしまう可能性があります。

当院では経口薬(飲み薬)で事前に副作用の有無を確認したうえで、
より安心安全なLAI治療をご提供いたしております

どんな薬にも副作用が生じるリスクはあります。LAIも同様に、人によっては副作用が生じる可能性があります。例えば副作用の例として足がムズムズして落ち着かなくなるアカシジアや悪性症候群などのリスクが報告されています。そのため当院においてはLAIを希望されるすべての患者さんに対してより安心安全な治療をご提供させていただくため、事前に経口タイプの薬剤をお試しいただき、副作用の有無を十分にご確認させていただいております。安全性をしっかりと確かめたうえでLAI治療への切り替えを行っております。

現在経口薬(飲み薬)で治療されている方の切り替えについても
随時ご相談いただけます

現在、経口薬にて統合失調症の治療を続けられている患者さんにおかれましても、LAIへの切り替えは随時可能となります。患者さん側の切実なお悩みとして「毎日の薬の服用の負担から解放されたい」「再発が心配」「服用する薬の量を減らしたい」「薬を服用しているところを人に見られたくない」といった声が実際に多くあります。LAIへの切り替えをご希望の場合には当院医師までどうぞお気軽にお声がけください。

副作用やリスクに関するご説明を丁寧に行っております

LAIへの切り替えにあたっては、患者さんご本人にも正しい情報を十分ご理解ご納得いただいたうえで開始いたします。「自分には注射と飲み薬のどちらが向いているの?」といった素朴な疑問に対しても医師が真摯にお答えいたしておりますのでどうぞお気軽にご相談ください。

LAI(持続性注射剤)治療の受け方

多くは肩部分に打つ筋肉注射となります。使用する針も非常に細いものを採用しているため、痛みを強く感じることはほとんどありません。投与後はすぐにお帰りいただけます。

LAI(持続性注射剤)はすべて保険適応の治療となります

公費医療をご使用ください。

当院で取り扱っているLAI(持続性注射剤)の種類

症状の内容や合併症の有無などといった個々のご事情や状況に応じて、医師が適切なものをお選びいたしております。

エビリファイ持続性水懸筋注用

患者さんの生活の質(QOL)向上にあたって最も主流となっているLAIです。代謝系疾患(糖尿病・高コレステロール血症・心筋梗塞・脳卒中など)への影響が比較的少ないと考えられており、多くの方に広くご使用いただけます。気持ちの高ぶりや不安感をやわらげるほか、うつ症状など停滞した心身の活動の改善など幅広い効果が見込まれています。1ヵ月に1回の通院が必要となります。

ゼプリオン

中枢神経系に作用する神経伝達物質(ドパミン・セロトニン)の機能を調節することで不安感や緊張をやわらげ、気力や関心を引き上げる効果が期待されている薬剤です。1ヵ月に1回の通院が必要となります。

リスパダールコンスタ

神経伝達物質(ドパミン・セロトニン)による幻覚や妄想、感情や意欲の低下などを改善する効果が期待されています。2週間に1回の通院が必要となります。

ハロマンス/ネオペリドール

神経伝達物質(ドパミン)を抑制し、主に陽性症状(妄想・幻覚・幻聴・混乱・興奮)を抑える効果が期待されています。針は少し太く、1ヵ月に1回の通院が必要となります。

フルデカシン

神経伝達物質(ドパミン)を遮断し、不安や緊張をやわらげ気分を安定させる効果が期待されています。針は少し太く、1ヵ月に1回の通院が必要となります。

継続的な治療を行うことで安定した症状のコントロールが可能となります

LAI(持続性注射剤)を用いた治療も経口薬(飲み薬)による治療も、通院に必要となる回数や期間はそれほど大きな違いはありません。しかしながら経口薬はさまざまなご事情から「うっかり飲み忘れた」という経験を日常的にされる患者さんが多いこともまた現実となっています。特に統合失調症の治療においては、いずれも継続した治療を行うことが最も重要な課題となります。症状を安定して抑えるためにもLAIは患者さんご本人のみならず、ご家族をはじめとする周りのサポートの皆様にとっても不安材料をひとつ減らす大きな改善への一歩となります。当院においてもLAI治療によって「眠気が少なくなった」「体が軽く感じる」「やる気が出るようになった」「治療に対する考え方が楽になった」など患者さんからの嬉しい声が実際多く聞かれております。再発を防ぐ予防的観点においても有効な治療法のひとつとしてLAI治療は今あらためて注目されています。一方、どんな薬においてもメリット・デメリットがあることを正しく理解することも患者さん側においてはとても大切なこととなります。自己判断での治療中断も再発リスクを急激に高める危険があります。当院では患者さんからのさまざまなご質問やご不安に対して経験豊富な医師が丁寧にお応えいたしております。毎日を穏やかな気持ちで、その方らしく安心してお過ごしいただくためにもどうぞお気軽に当院までご相談ください。

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